備前市教育支援センター「あゆみ」を訪問して

備前市教育支援センター「あゆみ」をご存じでしょうか?

一昔前は「適応指導教室」と呼ばれていた場所です。
不登校の子が学校の代わりに通うような場所です。

備前市は片上のホームセンタータイムの横にあります。

どの自治体にも、教育委員会が不登校の子供のために設置する教育支援センターがあるということは知っていたので、
この度学校の先生にお願いして紹介していただきました。

しかし、結論から言うと子供を通わせたいと思えるような場所ではありませんでした。

「学校復帰を支援するための施設」

いまだにこの考え方で運営している自治体は少数になっているかと思いますが、
備前市の教育支援センターでは変わらず「学校に行けること」を目標にした施設になっています。
職員さんともお話させていただきましたが、
「学校に行けることが大事!嫌なことでも頑張ってメンタルも鍛えて社会復帰してほしい」とおっしゃられており、大変驚きました。


一昔前のお考えをお持ちの方で今の時代に適していないと感じました。
個人的に「社会復帰」という言葉がとても引っかかりました。
学校に行けない・行かないという選択した子どもは社会から脱落しているという認識なのでしょうか?
様々な事情を抱え、傷つき学校に行けなくなってしまった子どもたち、もしくは
自分に合った学習方法や環境を選択するために学校に行かない決断をした子供たちに接する職員とは思えない言葉に落胆しました。

さらに、「泣いて玄関から入れなかった子も、今では教室の中に入れている。頑張ることが大事」というようなこともおっしゃっており絶句しました。

それは、行きたくない場所に子供が無理やり連れて来られて、大人たちを前に諦めることしかできず無気力状態で言うことを聞いてるだけなのでは。そんな状態が子どもにとって心身ともに健康だと言えるのでしょうか。

まるで、自分の指導のおかげというような言いぶりに寒気がしました。

ちなみに、「適応指導教室」という名前を変更するようにと文部科学省から通達があったときに、
多くの自治体は「学校復帰を目的とする」という一文を削除しています。
学校に通えることが正しい、という考えではなく、子供たちが自分らしく心身ともに健康的に過ごせる場所づくりが大切ということを
よく理解されていたからだと思います。
備前市はそうではなかったということで、大変残念です。

予算・専門性のなさ

「あゆみ」にはお二人の職員さんがいらっしゃるようです。
お二人がおっしゃっていたのは、
「私たちは会計年度任用職員なので、毎日ここにいません」
「私たちは専門ではないので」
専門ではないというのは、何に対して専門ではないのですか?と聞くと、
教育・学習に関して、なんでも教えられるわけではないから学習の保証はできないということでした。

また、「1人しか勤務しない日もあるので、その日は学校に頑張っていく日です」ということもおっしゃっていました。
説明によると、火曜日と木曜日の一日、月・水・金の午後は職員が一人になるそうです。
つまり、月水金の午前中のみしか対応していないということです。
いただいた資料のスケジュール表には他の曜日や時間帯が記載されていますが、
口頭で「今通われてるみなさんは、そう利用されています」と言われました。

暗に、職員が1人の日は来ないでくださいと言っているように聞こえました。

専門性がないと言い切ってしまうところや、自分たちの都合に合わせて利用日をコントロールしようとしているところに大変不信感を感じました。

また「頑張って学校に行く日」というのはなんなのでしょうか。
こちらもそんなことは資料に書いてありませんが、職員の方が口頭でおっしゃっていました。
学校に行けない子どもたちの場所のはずなのに、なんのための、だれのための施設なのか途方にくれました。

備前市民の税金を使って運用するのであれば、教育や不登校、児童心理学までとは言いませんが、
せめて子どもためにと責任をもって働いてくださる方を正規職員として雇用していただきたいと思いました。

利用条件

「不登校が長期化した児童生徒」が対象の場所ということです。
「長期化」という表現が曖昧ですが、文部科学省の定める不登校の定義である「病欠などを除く30日以上の欠席~」というものが基準になるのではないかと思われます。
さらに、これを加味して校長と教育委員会が許可を出せば通えるということになります。

今現在、(2025年1月)こちらに通っているのは備前市内小・中合わせて6名だそうです。定期的に通っているのはそのうち3名のみ。
ほとんど出席日数が受験で必要となる中学生が利用しているようでした。

私はこの数字、とても少ないなと感じました。

でも、この施設を訪れて通いたくないのは当然です。
今現在の備前市の不登校数は公開されていないのでわかりませんが、
「不登校」という定義に該当するだけでも全国で34万人。
五月雨登校や行き渋りでの遅刻欠席者を含めるともっと多いでしょう。

備前市の時代に取り残されているこの不登校支援、とても残念ですが嘆いていても始まりません。

今後私たちにできることは何でしょうか。
本当に自分の無力さを感じますが、できることやっていくしかないと思っています。